経営者向けコラム

嫌なことがあれば辞めてしまえばよいと考える者と、働き易い職場環境を作ろうとする者とは全く違う

ある社長と話しているときに、表題のような言葉を言われました。
その社長は、会社が成長するためには後者のような人がどれだけ社内にいるかが重要だと言っていました。
確かにその通りなのですが、少しこのことについて考えてみたいと思います。

まず、みなさまの会社では、後者(自ら会社を変えていく人)に該当する人が何人いますか?

会社が小さいうちは、そもそも当社に来てくれただけでも感謝です。
どんな人であろうと大切にしなければなりません。
良い職場環境・待遇にしてあげたくても、社長(自分)自身の待遇も含めてなかなか満足できるような条件を整えることもままなりません。
だからこそ、社員がうちで働いてくれるのは、社長との信頼関係だけが拠り所です。
前者であろうと後者であろうとあまり関係ありません。

ところが、会社がある程度の規模になり、社員が増えてくると、少しずつ社員の見極めをしていかなければなりません。
基本的にサラリーマンである以上、自由に職場を選ぶ権利があります。
前者(嫌なら辞める)の考え方を否定することはできません。

まず経営者としてはそれを認識することが大事です。

経営者の感覚からすると、
「なんで言わないの」「なんで自分でなんとかしようと思わないの」「なんで人のせいにするの」・・・と思ってしまいますが、そこはぐっとこらえて。
会社は400万社以上あるのですから、嫌なら辞めて新天地に行くのは従業員の自由です。
「お給料がもらえればよい。嫌なことがあれば辞めればよい」という人は一定数います。
これらの人にいちいち目くじらを立てていてはいけません。
縁あってこの会社に入ってくれた以上は、どんな考え方をもった人であろうと上手に活用していくことがマネジメントの極意です。

一方で、管理職に登用する人材の見極めは重要です。
能力があるか、技術があるか、ということよりも、冒頭の社長が言ったように、
「働きやすい職場環境を作ろうとする者=自ら主体性を持って会社の問題点に関与できる人」
かどうかを判断してください。
極論すれば、管理職の選定基準はこの一点のみで良いと思っています。