経営者向けコラム

三国志に思う~自分の人生に厚みはあるか

久しぶりに吉川英治の三国志を読み始め、早々にはまっています。
昔読んだのは中学生のころだったでしょうか、難しい地名官職文化歴史などはすっとばして、わかるところだけワクワクドキドキした思いがよみがえりました。
30年ぶりに読み返してみると、登場する様々な人物の肉付けや背景など、文章に書いてないものが自分の中で勝手に膨らんで、人物像への妙な思い入れや批判などが様々浮かんできます。

これは何なのか?

たぶん、私の人生なのですね。
善悪の判断や道徳、人の評価などは、すべて私がこれまで生きてきたこと、出会った人、考えたことの反映です。
英雄豪傑にワクワクするのは中学生のころと同じですが、末端の役人、一瞬で切られる人、腹黒い人、ずるい人、小さい人、義理に篤い人、つつましく生きる人・・・、様々な登場人物は私の人生のどこかに必ず登場している人なのです。
中学生のときには何も感じなかった人に対して、おじさんになった私は様々なことを想い、感じるのです。

会社を経営していく上で大事なのは、この社長の「人生」なのかな・・・、と最近考えます。
職業柄、「教科書を読んで覚える」、いわゆるテスト勉強のような「勉強」をずっとしてきました。
成功する多くの経営者はもちろんこの「勉強」好きです。
よく勉強しています。
これは間違いありません。

しかし、本当にその社長を成功に導いている勉強の中身は、このような勉強ではなく、いわゆる「人生勉強」なのではないでしょうか。
酸いも甘いも正も邪も体験してきた本当の意味での「人生勉強」の厚さこそが、三国史の木っ端な登場人物にも共感できる源、つまり、幹部だけでなく、末端まで自社の社員に光を与え、その人の背景にともに共感、涙、感動できる源なのかな、と。

三国史を華麗に彩る主役級のキャラクターに思いをはせると同時に、一瞬だけ登場する何千人の登場人物のことを考え、そんなことを思いました。