健康経営優良法人(中小規模法人部門)に申請できる法人は、常時使用する従業員の数が次のいずれかに該当する法人です。
- ① 卸売業:1人以上100人以下
- ② 小売業:1人以上50人以下
- ③ 医療法人・サービス業:1人以上100人以下
- ④ 製造業その他:1人以上300人以下
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「健康経営優良法人2018年版」の基準を社会保険労務士が解説します!
健康経営優良法人(中小規模法人部門)に申請できる法人は、常時使用する従業員の数が次のいずれかに該当する法人です。
BTコンサルティング株式会社(本社:埼玉県、代表取締役社長:島崎久志)は、経済産業省および日本健康会議から「健康経営優良法人:中小規模法人部門」に2018年から3年間認定されています。
次の1~5の項目の全て満たさなければなりません。
【項目番号1.経営理念・方針(経営者の自覚)】は【必須項目】です。
「健康宣言の社内外への発信」と「経営者自身の健診受診」に取り組まなければなりません。
「健康宣言の社内外への発信」は「健康宣言書」を作成して、社内外へ発信します。例えば、事業所入口掲示板への掲示、自社のホームページへの掲載や社内向けにメール配信、社外向けに求人広告への掲載等が該当します。
※「健康宣言書」とは、経営者が、全国健康保険協会等保険者のサポートを受けて、組織として従業員の健康管理に取り組むことを明文化したものです。
「経営者自身の健診受診」は、年に1回定期的に健康診断を受診します。申請書には、経営者の健康診断の受診日を記載します。受診のし忘れが無いように、自社の予定を立てるタイミングで、受診月日を決めておくといいでしょう。
事業場ごとに従業員の健康管理(健康診断や保健指導の実施、特定保健指導の連絡窓口等の実務)を担当する者を定めていること(衛生管理者、(安全)衛生推進者、全国健康保険協会(協会けんぽ)の健康保健委員を、担当者の1人としてあてることも適合とする)
【項目番号2.組織体制】は【必須項目】です。
「健康づくり担当者の設置」をしなければなりません。
「健康づくり担当者」は、事業場ごとに従業員の健康管理(健康診断や保健指導の実施、特定保健指導の連絡窓口等の実務)を担当できる人です。具体的には、従業員の健康保持・増進に関する取り組みを実践する担当者です。経営者、産業医、保険者及び健康経営アドバイザー等と適切な報告、連絡及び相談等を行うことで、組織全体に取り組みを展開するために必要な組織体制を構築しなければなりません。
「健康づくり担当者」は、1社で1名ではなく、「事業場」ごとに必要です。申請書類には、全事業場数、事業場名、事業場ごとの健康づくり担当者等を記載する必要があります。
本大項目では、以下の3つの中項目の評価項目から、それぞれ一定数を満たすことが必要です。
【項目番号3-1-1】は「健康課題の把握」をするために、①定期健診受診率(実質100%)が評価項目です。
定期健康診断の実施日(期間)、対象者数、受診者数、未受診者数及び受診率を記載します。
未受診者に対する通知等、早期受診の勧奨を行った事実を記載することが必要です。
申請書には、上記①の場合は、定期健康診断の実施日(期間)、対象者数、受診者数、未受診者数及び受診率を記載します。上記②の場合は、上記の受診率等に加えて、未受診者に対する通知等、早期受診の勧奨を行った事実を記載します。
受診のし忘れが無いように、健康づくり担当者が確認する仕組みを決めておくといいでしょう。
【項目番号3-1-2】は「健康課題の把握」をするために、受診勧奨の取り組みが評価項目です。
各従業員が再診やがん検診等の任意健診を受診しやすい環境を整えているかが、ポイントになります。
申請書には、取り組みの概要及び取り組みの詳細(就業規則等の制度や受診を促すために実施している取り組みなど、受診勧奨の取り組みを行っていることの説明)を記載します。
例えば、
従業員50人未満の事業場において、労働安全衛生法に定められたストレスチェック制度に準じて、ストレスチェックを実施していること
または、従業員50人未満の事業場がなく、労働安全衛生法の義務である従業員50人以上の事業場におけるストレスチェックを実施している場合も、本項目を満たしているものとする
【【項目番号3-1-3】は「健康課題の把握」をするために、50人未満の事業場におけるストレスチェックを実施しているかが、評価項目です。
50人未満の事業場の有無、ストレスチェック実施日(期間)、ストレスチェックの実施方法等を記載します。
従業員50人以上の事業場におけるストレスチェックの実施については、「5.法令遵守・リスクマネジメント」において、必須項目となっています。
申請書には、50人未満の事業場の有無、ストレスチェック実施日(期間)、ストレスチェックの実施方法等を記載します。
ストレスチェック制度の詳細については厚生労働省のHPを参照してください。
厚生労働省
「ストレスチェック制度導入マニュアル」
「労働安全衛生法に基づくストレスチェック制度実施マニュアル」
従業員の健康課題を踏まえ、従業員の健康保持・増進、過重労働防止に関する計画を策定し、具体的な数値目標や計画、実施(責任)主体及び期限を定めていること
【項目番号3-1-4】は、組織の健康課題や労働環境の改善に向けた計画・具体的な数値目標を策定し、その達成・ 進捗状況の把握、評価等の実施(PDCAサイクルの構築)をする必要があります。
「計画・目標の策定」という取り組みを評価するため、目標の達成状況は問われません。
また、健康宣言書において何らかの数値目標を定めている場合や、既に定めている安全衛生計画等に従業員の健康保持・増進、過重労働防止に関する目標・計画の記載がある場合、適合します。
申請書には、健康増進・過重労働防止に向けた計画や目標策定の背景、策定者、具体的な内容等を記載します。
適合例 |
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【評価項目3-2-1】以下①又は②のいずれかを満たすことをもって適合となります。
申請書には、上記①の場合は、実施日、対象者や研修の内容等を記載します。上記②の場合は、実施日、対象者、情報提供の内容や頻度等を記載します。
適合例 |
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組織として時間外勤務の縮減や有給休暇取得の促進など、仕事と家庭生活の両立に向けた環境づくりのための取り組みを継続的に行っていること(超過勤務時間の把握のみでは不適とする)
【項目番号3-2-2】は「ワークライフバランスの推進」のために、組織として時間外勤務の縮減や有給休暇取得の促進など、仕事と家庭生活の両立に向けた環境づくりのための取り組みを継続的に行っていることが必要です。ただし、超過勤務時間の把握のみではいけません。ワークライフバランスを維持・改善させる取り組みを促すことで、従業員のモチベーションの向上など、組織の活性化につなげる必要があります。
申請書には、施策の概要、施策の制定年月日、取り組みの種類や取り組みの詳細等を記載します。
適合例 |
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従業員同士のコミュニケーション向上に寄与するイベント等の取り組みを過去1年間に少なくとも1回以上定期的に実施している又は外部機関主催のイベント等に組織として参加していること(単に従業員の中の有志により開催・参加を募ったものは不適とする)
【項目番号3-2-3】は「職場の活性化」のために、コミュニケ-ションの促進に向けた取り組みが必要です。
従業員同士のコミュニケーション向上に寄与するイベント等の取り組みを過去1年間に少なくとも1回以上定期的に実施している又は外部機関主催のイベント等に組織として参加していることが必要です。ただし、単に従業員の中の有志により開催・参加を募ったものは不適となります。
申請書には、取り組みの概要、実施日、対象者や参加者、取り組みの詳細等を記載します。
適合例 |
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従業員の病気の治療と仕事の両立支援に向けて、組織としての取り組みを行っていること
具体的には、治療を要する従業員の相談窓口等を明確にし、その周知を図っていること、あるいは対象者の支援体制の整備等の対策を定めていること
【項目番号3-2-4】は、「病気の治療と仕事の両立支援」のために、病気の治療と仕事の両立支援に向けた取り組みが必要です。具体的には、治療を要する従業員の相談窓口等を明確にし、その周知を図っていること。あるいは対象者の支援体制の整備等の対策を定めていることが必要です。
申請書には、従業員の病気の治療と仕事の両立に向けて、制度や仕組みが整備されていることを記載します。
適合例 |
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(参考)厚生労働省「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000115267.html
【項目番号3-3-1】は、「保健指導」のために、保健指導の実施又は特定保健指導実施機会の提供に関する取り組みが必要です。
以下①又は②のいずれかを満たすことをもって適合とする。
申請書には、上記①の場合は、保健指導が必要な従業員の受診のために行った取り組みについて記載します。
上記②の場合は、就業規則等により制度や仕組みが整備されていること、又は社内通知等による取り組みを行ったことを記載します。
適合例 |
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従業員の健康課題に基づき、従業員の食生活の改善に向けた普及啓発等の取り組みを継続的に行っていること(従業員の健康増進に向けた目標(【項目番号3-1-4】参照)や、従業員の健康課題をもとにしていない取り組みは不適合とする)
【項目番号3-3-2】は、「健康増進・生活習慣病予防対策」のために、食生活の改善に向けた取り組みが必要です。生活習慣病等による欠勤、病休等を防ぐため、従業員の食生活改善を促す取り組みを行います。
申請書には、従業員の健康課題に基づき、食生活の改善に向けた制度や仕組みが整備されている又は社内通知等取り組みを行ったことを記載します。
適合例 |
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不適合例 |
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従業員の健康課題に基づき、従業員の運動機会の増進に向けた取り組みを継続的に行っていること(従業員の健康増進に向けた目標(【項目番号3-1-4】参照)や、従業員の健康課題をもとにしていない施策は不適合とする)
【項目番号3-3-3】は、「健康増進・生活習慣病予防対策」のために、運動機会の増進に向けた取り組みが必要です。従業員の健康課題に基づき、従業員の運動機会の増進に向けた取り組みを継続的に行っています。
ただし、従業員の健康課題をもとにしていない施策は不適合となるので、注意が必要です。
申請書には、従業員の健康課題に基づき、従業員の運動機会の増進に向けた取り組みを継続的に行っていることを記載します。
適合例 |
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不適合例 |
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従業員の受動喫煙防止に向け、全ての事業場において、敷地内禁煙、屋内完全禁煙又は喫煙室内以外禁煙を行っていること(喫煙室内以外禁煙においては、非喫煙場所にたばこの煙や臭いが漏れないよう措置を講じていること)
※「健康経営優良法人2019」の認定基準では必須項目とする。
【項目番号3-3-4】は、「健康増進・生活習慣病予防対策」のために、受動喫煙対策に関する取り組みが必要です。「健康経営優良法人2019」の認定基準では必須項目になります。
従業員の受動喫煙防止に向け、全ての事業場において、敷地内禁煙、屋内完全禁煙又は喫煙室内以外禁煙を行っていることをもって適合とする。 なお、喫煙室においては、非喫煙場所にたばこの煙や臭いが漏れないよう措置を講じていること。
申請書には、従業員の受動喫煙防止に向け、禁煙や分煙などの取り組みを実施していることを記載します。
職場における喫煙対策のためのガイドライン(平成15年5月9日 厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/05/h0509-2.html
従業員の感染症予防に向けて予防接種に要する時間の出勤認定、感染者の出勤停止等、感染症予防や感染拡大防止に向けた取り組みや制度を実施していること
項目番号3-3-5】は、「感染症予防対策」のために、従業員の感染症予防に向けた取り組みが必要です。
経営者及び担当者が、従業員の感染症予防や感染者対策に関する環境を整えることで、欠勤、病休等を予防するための取り組みを行います。
申請書には、従業員の感染症予防に向けて、制度や仕組みが整備されている又は社内通知等で取り組みを行っていることを記載します。
適合例 |
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不適合例 |
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従業員の労働環境を踏まえ、長時間労働者(超過勤務80時間を超える者)が発生した場合(管理職を含む) の対策等、過重労働防止に向けた具体的な対応策を事前に定めていること
ただし、過去1年間において、従業員(管理職を含む)の超過勤務時間が45時間を超える月がない場合には、基準を満たすものとして取り扱う
【項目番号3-3-6】は、「過重労働対策」のために、長時間労働者への対応に関する取り組みが必要です。
従業員の労働環境を踏まえ、長時間労働者(超過勤務80時間を超える者)が発生した場合(管理職を含む。) の対策等、過重労働防止に向けた具体的な対応策を事前に定めている必要があります。ただし、過去1年間において、従業員(管理職を含む。)の超過勤務時間が45時間を超える月がない場合には、基準を満たすものとして取り扱います。
申請書には、超過勤務時間が月45時間を超える従業員が存在する場合は、80時間超の超過勤務が発生した場合の対策を、過重労働防止計画その他規定等に明記している事実について、該当箇所の抜粋を記載します。
超過勤務時間が月45時間を超える従業員が存在しない場合は、「申請日から過去一年間において、超過勤務45時間を超える長時間労働者は存在しなかった」ことを記載します。
適合例 |
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不適合例 |
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(参考:過重労働対策に関するガイドライン)
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省 平成29年1月)
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/dl/151106-06.pdf
メンタルヘルス不調予備群に対する相談窓口を設置し、その周知を図っていること又は不調者が出た場合の支援体制の整備等の対策を定めていること
なお、ストレスチェック実施の範囲内の対応のみは不適合とする
【項目番号3-3-7】は、「メンタルヘルス対策」のために、「メンタルヘルス不調の予防、不調者への対応に関する取り組み」が必要です。
「メンタルヘルス不調予備群に対する相談窓口を設置し、その周知を図っていること又は不調者が出た場合の支援体制の整備等の対策を定めていること」が必要です。「ストレスチェック実施の範囲内の対応のみ」は不適合となるので、注意が必要です。
申請書には、メンタルヘルス不調予備群に対する相談窓口設置又は支援体制が整備されていることを記載します。
適合のポイントは、
予防策を評価する項目であるため、予め対応策として策定してない場合には不適合となります。メンタルヘルス不調予備群に対する相談窓口設置又は支援体制を整備します。
例えば、
【【項目番号4】は、「4 評価・改善」は、【必須項目】です。
「保険者との連携」のために、「(求めに応じて)40歳以上の従業員の健康診断データの提供」が、求められています。各保険者との同意書の中身を確認し、下記の①又は②のいずれかを満たす必要があり、承諾します。
企業が従業員の健康保持や増進に主体的かつ積極的に関わることで、生産性や収益性などが高まり、市場における企業価値の向上につながるという「健康経営」という考え方が定着しつつあります。この健康経営への取り組みが優れているかどうかは、「健康経営優良法人」に認定されることが一つの指標になっています。BTコンサルティングでは、現在の取り組みを評価し、その結果を踏まえたPDCAサイクルの確立を支援します。
※「健康経営」は、特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
BTコンサルティングでは、「健康経営優良企業」に認定されるために必要な取り組みを健康経営アドバイザーが現状分析します。不足については必要事項を整理し、今後の取り組みのロードマップを策定します。