経営者向けコラム

資金繰り、投資、利回り

2018年最初のテーマは、ちょっと堅いのですが、経営者にとって切っても切れない表題の件を取り上げます。
このブログでも、経営の要諦として1円でも良いから「単月黒字」を目指す、ということを何度も書いてきました。
損益計算書ベースで物事を考えるときは、これが絶対基準になります。

しかし一方で、経営者はP/Lだけを見て経営していては片目で運転をしているのと同じです。
両目でしっかりと運転するためには、貸借対照表(B/S)を常に意識しなければなりません。
とくに、売上が好調でしっかりと利益が出ているときには往々にして仕入や人件費増などの現金負担が増えて資金繰りが苦しくなる、とくに会社が成長期にあるときには「単月黒字」になればなるほど「月次の資金繰り」に奔走する経営者が多いです。
ここで、資金繰りのしんどさに耐えられず現状のワクの中だけで商売しようとすると、今度は逆にいつまでたっても会社が成長しません。
運転資金が回っていること、そして、必要なときに必要な投資ができるかどうかが、会社を成長させる社長といつまでたってもパッとしない社長を分ける分かれ道になります。
そのためにも、普段から金融機関との健全な取引をしておくことが何より大事になるのです(金利を営業経費と割り切って、必要なくても借入をしておく。定期的な業績報告。等)。

また、経営者は利益を残す(P/L的発想)ことと同時に、利益を適切に投資し、資金を適正に回収する(B/S的発想)、「利回り」の発想が大事です。
会社と個人の最大の違いは、この資金に対する考え方の違いです。
個人であれば、預貯金が多い、借金は少ない(できればしない)ことが尊ばれます。
しかし、会社はこれだけではダメです。
もちろん、個人と同様に現預金が多い、借入は少ないに越したことはないですが、適切な投資、利回りを実現した上での「結果としての」そのような状態であることが望まれます。

両目でしっかりと運転するためには、「単月黒字」だけでなく、ROA(総資産利益率)やROE(自己資本利益率)というような資産に対する利益の利回り、成長し続けるための直接的な投資、投資に対するリターンも意識していきましょう。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。