社長の強い思いのもと、大きな目標を設定し、それに向けて全社員を鼓舞して進んでいく。
もちろん、その推進役は社長と思いを同じくする幹部社員たち。
そして、全社一丸となって目標をクリアし喜びを共有できたら、さらにその先を目指して会社はどんどん発展していく…。
私がコンサルタントとして顧問先企業の社長と共に思い描く理想像です。
これは正しいのか?
顧問先企業の一つが決算期を迎えました。
売上は5年前の2.5倍、約60億規模まで成長し、利益は5倍になりました。
しかし、100億を大きな目標としているので、まだまだ道半ばです。
今日の延長線上にゴールはないので、現場にはさらなる変化、変革を迫っています。
そこで幹部社員からこんな一言を言われました。
「成長のスピードが速すぎる。3年かけて少しずつ変えていきたい…」。
私は言いました、
「3年同じことを続けていて、3年間今の業績が維持できると思ったら大間違いだ。3年後は業界から消えている。」
彼は疲れ果てた表情で苦笑いしていました…。
彼の顔を見ていて、数年前の前職での私自身を思い出しました。
全国の中小企業を元気にしたいとういう高い理想のもと、東京から全国展開するために矢継ぎ早に大阪、名古屋に出店。
当時の社長の思いに共感して先陣を切って新規開拓に邁進していました。
しかし、理想に燃えて拡大すればするほど、人員不足、能力不足、質の低下、出来る人の負担増大、根性、気合い、疑心暗鬼…。
最終的には、私自身も彼と同じ顔をしていたのではないでしょうか。
これが社員の気持ちです。
けして、社長の思いに共感していないわけではありません。
しかし、社長と比べて視野が狭く、目の前の仕事への責任感といざというときの被害者意識でいっぱいになってしまうのが社員(とくに幹部社員)の気持ちです。
この気持ちを理解しながら、それでも成長のアクセルを緩めないようにするにはどうしたらいいのか?
まだまだ私自身の模索が続きます。