経営者向けコラム

すでに起こった未来

ドラッカーの金言の中で良く聞くのが、この「すでに起こった未来」という言葉です。
人口構造の変化などは、今日現在の統計を見れば、5年後、10年後の姿がそのまま予測できる、ということです。
当然ですが、今20歳の人が所属しているグループが10年後には、そのまま30歳のグループになるわけで、減る事はあっても、増えることは絶対にありません(移民などを大量に受け入れれば別ですが…)。

そういう意味では、人口構造に関してはもはや「予測」ではなく、「事実」であり、「すでに起こった未来」なのだ、ということです。

一方で、私達経営者が将来の予測(または、自社の事業の将来展望)をするときには、どちらかというと、景気の状況、マーケットの現状、自分自身の過去の経験、または願望、希望的観測から考えることが多いです。
しかし、ドラッカーは、さらに次のように言っています。

「重大な変化は、価値観の変化、認識の変化、目的の変化など予測不能なものの変化によってもたらされる」(『すでに起こった未来』)。

つまり、未来予測をする際には、目先の景気や自分の過去の経験などに影響されてはダメなのです。
今日現在すでに起こっている価値観、認識、目的の変化などに着目しなければいけないのです。

自分の周りで起こっていることがありますか?
些細なことでも構いません。
何か気づくことがありますか?

例えば、
先日、切手をどこに張ったらいいかわからない、という新入社員に会いました。
手紙を書いたことももらったこともない子なのでしょうね。
「最近の若いヤツは…」と批判するのは簡単です。
しかし、手紙の代わりになるメディアがそれだけたくさんある、すでに起こった未来ではないでしょうか。

また、東京では20歳以下くらいの女の子はほぼ100%自分のことを「うち」と言います。
「わたし」と言っている子に会ったことがありません。
これは何の変化なのか、まだ考え中です(笑)。

いずれにしても、マーケットの変化そのものよりも、人の価値観、認識、目的の変化などに着目することで「すでに起こった未来」を見つけることが大事なのです。