経営者向けコラム

経営戦略の意味とは

最近読んだ本の中に面白いことが書いてありました。
詳細は忘れてしまったのですが、だいたい以下のような内容です。

「どこかの国の軍隊がアルプス行軍中に吹雪で遭難しかかった。
誰もが絶望したときに、一人が「地図があったぞ!!」と叫んだ。
その地図のおかげで、全員がふもとまで生還できた。
後で地図を確かめてみると、それはピレネーの地図だった」

「狩猟で暮らしているある部族では、長い間不猟になると、長老がトナカイの骨を焼いて、ひび割れで獲物のいる方角を占い、それに従うと必ず猟が成功した。
周囲の部族は不猟が続いて滅んでしまうものもあったが、その部族はずっとこのやり方で存続してきた」

これはどういうことでしょうか?

答えは簡単なことです。
最初の事例は、とりあえず進んでいったら川があった。
その川にそって下っていったら集落に出た。
川沿いに集落ができるのは地理的に当たり前のこと。

二つ目の事例は、とりあえず占いの方向に行った。
信じて進んでいるうちに獲物の痕跡を見つけて、そこから方向を修正して、あきらめずに追い続けた。

何が言いたいのか。

結局、未来のことなど誰にもわからない。
1年後はおろか、明日のことさえわからない。

経営も同じです。
未来は誰にもわからない。
そんな中で、中長期の計画を立てて、経営戦略を立案していくことに何の意味があるのか?

答えは、「意味がある」。
それが先ほどの事例の問答なのです。

戦略の中身など、所詮、アルプスにおけるピレネーの地図か、長老の焼いたトナカイの骨のひび割れ程度です。
その正確性を云々する前に、生還した、部族が存続したという結果が重要なのです。
皆が信じて一つになったという事実が大事なのです。
方向性などは都度修正すれば良いのです。
大事なのは、このでたらめな地図や占いがなければ、軍隊や部族は行動を起こすことができず、結局全滅していたかもしれないということです。

私も、顧問先企業で「経営戦略」の立案に関与することが多々あります。
自分は間違ったことを言ってしまったのでないかと思い悩むことも多々あります。
しかし、所詮、私の言っていることは「トナカイの骨のひび割れ」です。
むしろ、行動すること、軌道修正すること、全員で一致団結することが大事なのです。

そう考えると、ひび割れ野郎(私)も重要な役割を担っているのではないでしょうか(笑)。