経営者向けコラム

組織は戦略に従う

「組織は戦略に従う」

アルフレッド・チャンドラーが1962年に刊行した経営学の古典的名著の邦題であり、経営の「名言」のひとつとされる言葉です。
(原題は"Strategy and Structure")

素朴な疑問です。
では、戦略は何に従うのでしょうか?

ちなみに、「経営戦略」というように、今では経営用語として使うことの多い「戦略」という言葉ですが、当然ながらもともとは軍事用語です。
有名なクラウゼヴィッツの『戦争論』では、個々の戦闘で問題となる戦術と対比し「戦略とは戦争目的を達成するために戦闘を組み合わせる活動だ」と述べています。

この言葉からもわかるように、戦略とは戦争に勝利するために個々の作戦を取捨選択すること、つまりは、目的を達成するために、何をやるかやらないかを決めること、だと解釈できます。

ということは、先ほどの私の疑問の解答は、
「戦略は目的に従う」となります。

目的というのは、企業でいえば、まずは経営計画の達成であり、最終的には経営理念や存在意義と言われるようなものがあります。

まとめると、「組織は企業理念を実現するための手段たれ」となるのではないでしょうか。

振り返って、自社の組織図を見たときに「組織」が自分たちの思い描く会社になるための手段として機能していますか?

正解はありません。
ただ、この組織で戦うことで、私たちの企業理念、企業の存在意義が実現できるか?社長の思い描く会社に近づくことができるか?

もしかしたら、その観点から見ると部門長としてふさわしくない人がいるかもしれません。
逆に、業績だけから見るとふさわしくないと思っていた人が、理念から見ると実は適任だったということがあるかもしれません。
理念の実現のためには、思い切って今の組織構造をぶっ壊すことが必要かもしれません。
逆に、理念の実現のためには、非合理とわかっていても現状維持をしたほうが良いこともあるかもしれません。
または、どちらでもない第三の案があるかもしれません。

繰り返しになりますが、どれも経営者の決断であり、正解はありません。
迷ったときは、常に経営理念に立ち返って考えてみてください。