宅急便を作ったヤマト運輸の故小倉昌男社長の有名な言葉に
「サービスが先、利益は後」
というものがあります。
経営にはすべてのことが必要だが、社員は多くのことを言ってもできない。
優先順位を決めるのは経営者の仕事である。
他のことを言うと「サービス」がおろそかになるから、じっと我慢して、とにかくサービスのことしか言わなかった、という逸話です。
話は変わるのですが、うちの近所に大手ステーキチェーン「どん」という店があります。
そのお店がプロモーションの一環として、期間限定かつ対象店舗を絞った「ステーキ食べ放題」企画をやるとの情報を入手しました。
その概要は以下です。
まず、期間中ずっと実施ではなく、月に一回、1月17日(金)、2月21日(金)、3月14日(金)のみです。
しかも、その日は全店対象ではなく、そのうちのどこか1日のみが、その店舗が対象となる日、として決まっています。
まず、この段階で何やら引っかかります。
次に、中身です。
2,000円のコースを頼むと、まず、ステーキとライス、スープが普通に出ます。
それを食べると、チキンステーキとハンバーグステーキが出てきます。
そして、この3皿を全部食べて初めて、食べ放題が始まります。。。
むむ。
「おなかいっぱいじゃん!!」と、うちの奥さんは突っ込みを入れました。
これってどうですか?
確かに、チキンステーキもハンバーグステーキも「ステーキ」ですけど…。
「ステーキ食べ放題」と言われて、この条件が出てきたら、なんか引きますよね。
注文する前から、「お願いだからステーキを食べないでくれ!!」と言われているような(笑)。
企画する側としては、プロモーションとしての話題作りと、利益とのバランスを考えてギリギリの線で原価計算をした結果だと思います。
お店の立場に立てば原価率の低いチキンとハンバーグをまず食べさせて、胃袋を埋めるというのは非常に合理性あります。
また、そもそも2,000円でステーキもハンバーグもチキンも食べられるのだから、それだけでも安いではないか!!というお店の主張もわかります。
しかし、このキャンペーンの目的はあくまでもプロモーションにあると思います。
中途半端な利益率の計算をしてしまったが故に、中途半端ないちゃもんをつけたくなってしまうのです。
せっかく頑張っているのに、それが裏目に出ています。
冒頭の小倉さんの言葉をもじれば「宣伝が先、サービスが後」になっています。
宣伝の効果を最大限にしたいのであれば、急がば回れで「サービスが先、宣伝が後」にしないといけません。
ここは原価ではなく、販管費として捉えて、本当の意味で徹底的な食べ放題キャンペーンをやるべきです。