経営者向けコラム

コロッケはイノベーションの達人?!

ドラッカー曰く、
企業の目的は「顧客の創造」であり、そのために必要なことは「マーケティング」と「イノベーション」である。
マーケティングとは「顧客の欲求からスタートすること」であり、イノベーションとは「新しい満足を生み出すこと」である。

先日、日テレのものまねグランプリを見ていて、この、「マーケティングとイノベーション」について考えました。

年末にものまね王座を決める同番組で、昨年は徳永英明のものまねをした、その名も「英明(えいめい)」がチャンピオンになりました。
顔も声もそっくりで、徳永英明本人も喜んでいたくらいです。
そんな英明が、今年は「徳永英明を封印して挑む!」ということで、忌野清志郎などのものまねにチャレンジしていました。
ちなみに、ものまねタレントなら誰でもできるような特徴ある人のラインナップで、正直面白くありませんでした。

ものまねタレントとして食べていくには、レパートリーを増やさなければいけない。

わかります。

でも、英明の最大の強みである「徳永英明」を封印するのは、「顧客の欲求からスタートする」というマーケティング発想からすると失敗です。
顧客はこの人には徳永英明を求めているのであり、誰でもできるようなものまねは求めていません。
「顧客の欲求」から完全にズレています。
「封印」は誰にとっての封印なのか?意味不明です。

英明がやるべきなのは、宇多田ひかるのそっくりさんで出てきた「ミラクルひかる」のようなパターンではないでしょうか。
徳永英明に徹底的にこだわってバリエーションを増やしていく。
その裏で、ひっそりと他の人の練習をして(プロの域になるまで披露してはダメです)、ここぞという瞬間に披露して、「へー、実は徳永以外もできたんだ!」と思わせる。
これが、英明の「マーケティングとイノベーション」です。

一方、コロッケには爆笑しました。
やったことは毎度の定番ネタなのですが、今回は「合体ものまね」という顔と歌が違うシリーズを作ってきました。
顔は岩崎宏美で声は長渕剛とか、顔は美川憲一で声は河村隆一とか、いつものネタの「見せ方」を変えただけですが、涙が出るほど面白かったです。

コロッケがやったことは「イノベーション」です。
既存の技術の組み合わせで、十分に「新しい満足を生む」ことはできました。

企業も同じだと思います。
イノベーションは、お客様が求めてもいない新規の事業にチャレンジすることではなく、まずは、今、自分たちの会社にある経営資源を活用して、その組み合わせで顧客に対する新しい満足を提供することを考えてみてください。

ものまねグランプリを見ながら、そんなことを考えた週末でした。