経営者向けコラム

詰将棋と演繹・帰納

理念を明確にし、方針を定め、その実現のために経営計画を作り、戦略に基づき具体的な施策を定め、日々PDCAを回していく。
シンプルに言うと、経営とはこういうことです。

しかし、言うのは簡単ですが、現実は社会情勢・景気・トレンド・競合などの外部環境と組織・人・資金などの内部環境、自社の商品力・サービス力などの変数が複雑に絡み合い、売上・利益を確保し続けるのは至難の業です。

本来であれば、こうした論点を一つひとつ分析して勝つための戦略を組み立てていくのがあるべき姿です。
ちょっと難しい言葉を使うと、「演繹法的アプローチ」です。
(演繹法:始めに普遍的法則や一般的主張があって、そのあとに特殊的主張や特殊な法則を導き出すこと)

しかし、年末年始を迎えてただでさえ忙しい社長、管理者のみなさまに今ここで悠長なコンサルタント的助言、指導をしても、
「わかっちゃいるけど、忙しいから後にしてくれ!!」と言われてしまうのがオチです。

そこで、年末年始を乗り切るために、『「詰将棋」と「帰納法」』の発想を紹介します。

まず、ご存知だとは思いますが、「詰将棋」を広辞苑で引くと以下のように書いてあります。

「詰将棋・・・将棋で、与えられた譜面と駒を使って、規則に従って王手をつづけて王将を詰めること。(広辞苑)」

年末はとにかくこれだけを考えてください。
つまり、まずは目先の予算・目標を達成するために、現在与えられた譜面と駒(経営資源:人・モノ・金・情報・ノウハウ等)を使って王将(目標/ゴール)を詰めることだけを必死で考え、実施してください。
とにかく逆算、逆算、カウントダウンです。
積み上げではありません。
ゴールとのギャップをどうやって「詰めるか」です。

この発想ができるようになれば、王将(ゴール)を3ヵ月、6カ月と広げていってください。
さらに、1年、3年、5年、10年と頭の中を広げていくと、実は結果として冒頭の「経営とは」に近づいていきます。

つまり、日々の仕事を詰将棋的に取り組み、それを順次拡大していけば、結果として「帰納法的アプローチ」で経営の原理原則に近づくことになります。
(帰納法:始めに具体的事例(観察された個々の事例)があって、その中から必然的に導き出される一般的理屈ができること)

なんとなく小難しい話になりましたが、言いたいことは、大上段から理念、中長期計画、戦略などと言う前に、まず目の前の仕事をやる!!

ただし、ただ目先の仕事をやって実績を積み上げるのではなく、あくまでも「詰将棋」の発想で王将(ゴール)を詰めることを考えるクセをつけてください。