鉄鋼業で財をなし、鉄鋼王と称された米国の大富豪アンドリュー・カーネギーの墓碑には、以下の言葉が刻まれています。
「自分より賢き者を近づける術知りたる者、ここに眠る。」
(Here lies one who knew how to get around him men who were cleverer than himself.)
素晴らしい言葉です。
人生で成功するためには、自分よりも優秀な人をどれだけ自分の周りに集めることができるか、ということですよね。
もちろん、カーネギーさん自身が人並み以上に優秀だったと思いますが、それをおごることなく、死んでまでこのような言葉を残せることに感銘を受けます。
話は変わりますが、
私はコンサルタントとして他社の経営に口をはさむという仕事を選択したときかからずっと、
「自分が何かを知らないことは悪であり、恥ずべきことである。
だから、常に勉強、勉強、一歩でも立ち止まったら己の死と同じだ・・・」
というような気持ちで仕事をしてきました。
しかし悲しいかな、人間(というか私)は弱いもので、現実には言うほど勉強もできてませんし、知らないことだらけです。
ごめんなさい!
なのに、いつも気持ちだけは「勉強、勉強、勉強・・・」と強迫観念に追いかけられていました。
こんな私ですが、ちょっと変化がありました。
顧問先企業でシステム開発のプロジェクトが始まりました。
もちろん、経営顧問として私も全面的に関与しています。
しかし、課題の解決や戦略の実現のためにシステムを道具として活用していくユーザーサイドのコンサルティングは専門分野ですが、そのシステムの開発については素人です。
しかし、以前の私であれば、コンサルとして知ったかぶりで全てに口を出していたと思います。
しかし、今はコンサルタントであると同時に当社の代表でもあります。
当社の理念は「お客様の事業の目的・意義の実現のお手伝いをする」ことであって、私がかっこいいコンサルタントになることではありません。
今回は迷わず、システムのプロAさんにアドバイザーになってもらいました。
また、システム開発の経験のあるBさんに実際の業務レベルでのお手伝いをしてもらっています。
顧問先の担当者と、私、そして私より「賢き者」2人に同席してもらい、システム開発業者さんと打ち合わせを進めています。
必死に知らないことを覚えるということにエネルギーを使うのではなく、アドバイザーの助言を聞いて私は「判断」をし、そして実働はBさんにお願いするという形です。
これからは、自意識過剰な脅迫観念に追われるのではなく、お客様にとってよりよいサービスをするために「周りの人を活用する」という考え方に変えていきます。