経営者向けコラム

経営者の心意気~私は甘い?

知り合いの経営者から面白い話を伺いました。
その方が管理者養成学校に行ったときの話です。
講師からある質問をされ、その場で意思決定をして答えを出すというワークショップがあったそうです。
また聞きなので内容が正確ではないかもしれませんが、こんな感じの質問です。

Q.あなたは社長です。今、緊急の用事があり道を急いでいます。そこに向かっている途中で道に倒れている人がいました。あなたはどうしますか?

ちなみに、「島崎さんはどう思う?」と聞かれたので、私は「倒れている人に声をかける」と反射的に答えました。
実際にその場にいたら、その行動に出るかどうかはわかりませんが、少なくともそう思いました。

実際にその研修での正解はこうです。

正解:「そのまま通り過ぎる」

理由:「見て見ぬふりをして通り過ぎるというのは、人としてはヒドイことのようだが、道を通っている人は自分以外にもいる。
自分が通り過ぎても必ず他の人が面倒を見てくれるだろう。
それに対して、あなたの会社の社長はあなただけだ。
「緊急の用事」というのが、実は会社の運命を決めるほどの重要なことだったらどうするのか?
それで倒産しても他の人が面倒を見てくれることはない。

または、自分の家族が死ぬかもしれないので急いでいるという場面だったらどうするのか?
家族にとってのあなたはあなた一人しかいない。
他の人はいない。

いずれにしても、他の人ができる仕事より、あなたしかできないことを優先するのが経営者としての考え方である」


うーん。
経営者って厳しいのですね。。。

実際コンサルタントとして様々な社長の経営支援をしていますが、ここまで厳しいことを社長に対して言ったことはありません。

だって、倒れている人がいたら助けますよね。
それが人間ですよね。
人間としては正しいけど、経営者としては正しくないと言われても腹に落ちませんよね。

このワークショップ自体は「経営者の仕事、役割、心意気」をよりイメージしてもらうための極端な例だと思います。
言いたいこと、伝えたいことはわかります。
倒れている人を放置することは人道に反するかもしれないが、私が社長の仕事を放置してしまったら私の会社に関係する全ての人が道で倒れている人と同じ状態になってしまうではないか!
「小善は大悪に似たり、大善は非情に似たり」ということですよね。

わかります。
でも、道で倒れている人を助ける人間でいたい。
論点がズレているのはわかりますが、まだまだ甘い経営者でいたいと思います。