経営者向けコラム

「三方良し」の拡大解釈

近江商人の商売の心得に「三方良し」という考え方があります。
これは、「売り手良し」「買い手良し」「世間良し」のことで、売り手と買い手がともに満足し、また社会貢献もできるのがよい商売であるということを言っています。
現在の企業のCSR(社会的責任)などは、まさにこの考えを体現したものです。

これについてちょっと考えてみました。

少なくとも「売り手良し、買い手良し」というところまでは、ビジネスの大原則として誰もが念頭においています。
まさか、このご時世に「うちだけ儲かれば相手はどうなってもいい」と思って商売をしている社長は少ないと思います。

ところが、「世間良し」=社会貢献、という3方目が入ってくると、とたんにハードルが上がって、なにか慈善事業のようなことをやらなければならないような感じになってきます。
ましてや、冒頭のCSRなんていう言葉を使ってしまうと、完全に中小企業には縁のない世界のようになってきてしまいます。

例えば当社の社会的責任、社会貢献とは何でしょう。
頭を悩ませます。
以前からずっと国境なき医師団に寄付をしたいと思っていましたが、これが三方良しでしょうか?

近江商人の教えを尊重しつつ、もっとシンプルに「3方目」を解釈してもいいのではないでしょうか。

例えば、「お客様も喜ぶし、会社も儲かる、そして、『社員も成長する』」とか、「お客様にとってもメリットある、当社にとってもメリットある、そして、『お客様のお客様(エンドユーザー)にとってもメリットがある』」…など。

けして、社会貢献、社会への利益還元という大風呂敷ではないですが、よくよく考えてみると、先ほどの例であげた「社員の成長」にしても、個々の社員が成長して幸せなビジネス人生を歩めるのであればそれは結果として大きな社会貢献への小さな一歩です。

まとめると、私なりの「三方良し」というのは、自社、お客様以外にも社員や家族、お客様のお客様、社員など、身近な第三者の存在を認め、その登場人物にとってもなにか得があるようなストーリーを考えると実は商売はうまくいくのではないか、というシンプルな発想です。

ぜひ、この視点で考えてみてください。