経営者向けコラム

社員旅行の効能

先日、顧問先企業の社員旅行に参加しました。

社長、幹部たちと話す機会は多いですが、直接社員のみなさまと話す機会はそれほど多くないので、私にとっては非常に良い機会です。
観光をしたり、飲んだり食べたり歌ったりと、大いに盛り上がりました。

一緒に盛り上がる一方で、社員旅行や合宿研修などに参加させてもらうと、私は必ず参加している社員の表情・態度を見るようにしています。

心から旅行を楽しんでいる人、ここぞとばかりにはじける人、義務的に参加している人、本当は参加したくないけどしぶしぶ来ている人、幹部と現場社員の温度差、ベテランと新人の温度差、などなど。
表情・態度を見れば、だいたい想像がつくものです。
会社に対するロイヤリティがそのまま反映します。

普段は社長も社員のそんな姿をしっかり見ていると思います。
でも、こと「社員旅行」に関しては、たいていの社長は「社員のみんなとこんな旅行ができている幸せ」の感慨にふけってしまうので、冷静に「しぶしぶ参加している人がいる」などと考えられません。
むしろ、「これだけ社員のためにお金と労力をかけているのだから、喜ばないヤツはいない」と思うでしょう。
しかし、悲しいかな、どこの会社でも一定割合の「しぶしぶ参加している人」がいます。

ある意味、社員旅行というのは、社長の思いと社員の思いのギャップが最大になる機会かもしれません。
社長にとってはちょっとさみしいことですね。

でも、どんなに「しぶしぶ参加社員」がいたとしても、私は実施している会社の社長のほうが、やらない会社の社長よりもすごい社長だと思っています。

社員旅行の目的はなんでしょうか?
懇親、社員への慰労、利益の還元、会社の思いを一つにする、社長の感謝の気持ちを伝えたい、等々。
目的は何であれ、それを具体的に時間と労力と費用をかけてまで実現しているわけです。
私は経営者としてまだまだ未熟ですので、自分以外の従業員に対してこれだけのことをするだけの金銭的余裕も気持ちの余裕もありません。
すいません。
社員より先に自分を慰労してしまいます。

だからこそ、顧問先の中小企業で「社員旅行を実施している」と聞くだけで、その内容や参加者の気持ち以前に、この社長はすごい社長だ、と思うようにしています。
よりじっくり社長と付き合ってみると、だいたい当たっています。

「社員旅行の効能」というと、社員のモチベーションアップや一体感の醸成手段のように捉えることが多いですが、私にとっては「社長の器の大きさ」をはかる指標です。
しぶしぶ参加する社員などはどこの会社にもいます。
こういう人は旅行があろうがなかろうが普段から同じです。
そんなことよりも、実施していることの方に度量の大きさを感じるのです。