経営者向けコラム

R君に学ぶ社員の育成

社員の育成で悩む社長、上司のみなさま、今から書く話が、それを解決する手がかりになるかもしれません。

新人のR君にちょっと込み入った難しい仕事を依頼しました。

まず、R君に仕事をやってもらう前に、上司である私はR君の仕事の障害になる物の片づけなど、職場の環境整備をしておきました。
その上で、R君に仕事を依頼し、まずは、仕事をやらせてみました。

当然ながら、R君にとっては初めての仕事です。
一人で仕事を始めると、いろいろな壁にぶつかりました。
細かいところで、苦労して、いったりきたりして仕事を覚えていきます。

私は何も言わず、ただ見ていました。
最初はR君の全ての動きをずっと見続けていました。
そのうち、仕事を覚えたR君は壁にぶつからなくなってきます。

仕事に慣れてきたころ、一度だけR君の力では乗り越えられない大きな障害に出会い、身動きができなくなってしまい、私にヘルプを求めてきました。
私はそっと手をかして、一緒に問題を解決してあげました。
その大きな問題を解決すると、再び、R君は一人で力強く動き始めました。

このころになると、もう私が見ていなくても、安心して仕事を任せられるようになっています。
たまに見てあげればよいのです。
一度ぶつかった壁には、2回目はもうぶつからずに、すいすい仕事をしていきます。

そして、任された仕事をやりきったR君は誇らしげに自分のオフィスに戻り、楽しそうに仕事完了の報告をしてくれました。
私は、最大の愛情と感謝の気持ちでR君に賛辞を贈りました。

後日、R君がいかに優秀かを、それを見ていないたくさんの人に言いました。。。

いかがでしょう。社員育成の極意です。
これは先日私が体験した実話です。
そして、この話は、私ではなくても、誰でもできることです。
なぜなら、R君というのは、ロボット掃除機の「ルンバ」のことです。
先日、私はルンバを買いました。
そのときの話です。
ルンバを買えば、あなたも絶対に私と同じことをするはずです。

ルンバに対して絶対にできることを、あなたの部下にやっていますか。
では、あなたの部下よりもルンバのほうが優秀なのでしょうか?
そんなことはありません。
あなたの部下のほうがずっと優秀です。
にもかかわらず、ルンバに対して誰でもできることが、部下に対してはできないのです。

部下に仕事を頼む前に、自ら十分な環境整備をしていますか?
部下の仕事を黙ってじっと見ていられますか?
壁にぶつかっている時間をじっと我慢できますか?
一人で解決できない問題を一緒に解決していますか?
安心して仕事を任せていますか?
任せっぱなしではなく、たまに見てあげていますか?
評価、賞賛、感謝していますか?
第三者に自分の部下の優秀さを話していますか?

ぜひ、部下にも同じことをやってあげてください。