「入るを量って出ずるを制す」。
稲盛さんがJALの会長に就任した際に語った言葉です。
これは二宮尊徳(金次郎)の経営再建の思想ですが、もともとは中国の古典「礼記・王制」に国家の経営思想として登場する言葉です(「入るを量りて出ずるを為す」)。
要は「収入を計算して,それに見合った支出を心がける。」
という財政の心がまえを説いています。
最近いろいろな社長からご相談を受ける中で、最も強く感じているのは
「経営の原理原則は、まさにこれしかない」ということです。
様々な理由で起業をした社長がいます。
それは、夢や希望、名誉やプライド、一攫千金や功名心、使命感や社会変革の正義感。
どんな理由であるにせよ、「思い」で企業を存続させられるほど、世の中は甘くないという現実があります。
うまくいっていない社長はみな、この原理原則を無視しています。
経営者がやるべきことは、まず、売上を確保する。
そして、その器に見合った支出を心がける。
少しずつ内部留保を増やしていき、金融機関と交渉できるだけの実績をつける。
自己資金と外部資金をうまく活用して、3年後、5年後を見据えながら徐々に投資額を増やしていく(人、モノ)。
その結果、さらに売上が伸びる…。
月次の収支が営業赤字になっている会社は必ずこの逆をやっています。
最初にお金をひっぱる。
または自己資金を投入する。
すぐに事務所、人、設備をそろえる。
毎月入る額より支出が増える。
なんとかリカバーしようと変な新規事業を考える。
ますます顧客ニーズから離れる。
売上が下がる。
3年後どころか、今日のことで精一杯…。
という感じです。
経営はシンプルです。
余計なことは考えず、まず売上をあげることに全身全霊をささげてください。
そして、その稼いだ範囲内で運営することに心血を注いでください。
経営者仲間が派手に活動していても無視してください。
3年後には必ずあなたの勝ちです。