新規の顧客訪問をした後、2回目の商談に臨む際には前回の商談内容を踏まえた会話をします。
新規の顧客開拓を中心に活動している営業なら、そんなお客様がたくさんいます。
1社2社なら覚えていられますが、10社20社となったら、会話内容どころか相手の顔も忘れてしまいます。
当然ながら個別の商談履歴を残しておいて、それをもとに次回訪問予定を立てる、提案内容を検討する、商談前に見返すなどの活用をしています。
トップセールスなら、言われなくてもやっていることです。
この情報を「個人で管理」するのではなく、「会社として管理」していくために営業支援システム(SFA)を導入している会社も多いです。
しかし、営業マンとして普通にやっていることが、システムを導入した途端に「むずかしいこと」に変わります。
自ら顧客管理をしているトップセールスですら、会社からパソコン入力を伴う情報管理方法を強制されると、半分も情報入力できない人(ダメな人)になってしまいます。
実は「営業マン」というのは、適当にお客様を取捨選択しています。
トップセールスであればあるほど、「見切り力」に長けており、商売の臭いのしないお客様に無駄に時間をかけません。
全営業マンに情報入力を求めると、この見切っているお客様の情報まで時間をかけて入力させることになるので、トップセールスであればあるほどそこに時間を使うことが億劫になるのです。
営業支援システムをうまく活用するためには、営業のキャリアごとに使用の目的を変えていくことです。
実は冒頭に書いた、「備忘録としての商談履歴」というのはあまり管理する必要はありません。
営業マンは自分が困るだけですから、何とかします。
営業マネジャーとしては、キャリアが浅い人には一緒に情報を見て、
「お客様に対する時間の使い方、適切な見切りのタイミング」
を見極めるために活用してください。
一方で、ベテラン営業に対しては、いちいち情報を一緒に見る必要はありません。
その代わり
「その人が退職してもすぐに引き継ぐことができる」
というレベルの情報を残してもらってください。
自らの判断で見切った新規案件の詳細まで事細かに書かせる必要ありません。
システムというのは入力が目的ではなく、活用が目的です。
具体的な活用方法から逆算してそれぞれの入力ルールを決めることが大事なのです。