関東を中心に多店舗展開している「塚田農場」という居酒屋があります。
最近大流行しており、カンブリア宮殿などでも取り上げられています。
行ったことのある方も多いのではないでしょうか。
宮崎地鶏を使った料理もおいしいのですが、それよりも、気さくでフレンドリーな接客、お客様とのコミュニケーション、ちょっとしたサプライズと感動、名刺をもらい主任からスタートしてだんだん常連になると昇格していく仕掛けなど、お客様を楽しませる工夫、小ネタが随所に仕込んであります。
また来たいな、誰かを連れてきたいな、と、まんまと思わされてしまいます
(私も、初めて行ったときに、店員の女の子に携帯にシールを貼られて、「また来るよ~」なんてご機嫌で帰りました)。
さて、話は変わって、先日出張先で、「山内農場」というお店に入りました。
外観はほぼ塚田農場と同じです。
てっきり塚田農場の系列店と思ってルンルンと入りました。
中に入ると内装も同じような感じです。
メニューを見ても限りなく同じような感じです。
しかし、店員はいたって普通の居酒屋の店員です。
最初におしぼりをもって来たら、あとはタッチパネルで勝手に注文です。
とくにコミュニケーションもありません。
その後、食べたものを下げにくることもありません…。
なんかおかしいぞ、と思って調べてみると、やはり、塚田農場と全く関係ないお店でした。
こちらは、白木屋、笑笑などを展開する居酒屋最大手の一角であるモンテローザが始めた新業態でした。
思わず「おいっ!」と突っ込んでしまいました。
よくぞここまでパクったな、と感心すら覚えました(笑)。
飲食では流行っている業態をマネるのはよくあることです。
とくにモンテローザは色々物議を醸すほど、その手のことが得意な会社です。
ただ、悲しいかな、資金力をバックにしてハードをマネることはできても、サービスや接客などというソフトはそう簡単にマネできないのですね。
マネできないことをわかっているので、タッチパネルで標準化、マニュアル化してお金で解決してそれを補っていると思いますが、実はそのマネできない部分が企業の強みであり、お客様にとっての最大の魅力なのです。
正直言って、「山内農場」はちょっと高い普通の居酒屋でした。
「また来たいか」、と聞かれれば、「そこしかなければ行きます」という程度です。
こんなもんです。
モンテローザほどの大手ですから、そんなことは100も承知なのでしょうね。
彼らにとっても、お客様を飽きさせないための数ある業態の一つであり、それ以上でも以下でもないでしょう。
ハードはマネできてもソフトはマネできないと良く言われますが、それをまざまざと実感しました。