あらためて反省と同時に考えさせられることがありました。
コンサルとして駆け出しの頃は、上司が主任コンサルタント、私がサブとして現場に入ることが多かったのですが、お客様のほうも、主任コンサルには防衛線を張りますが、一緒についてくる若造には意外と本音を言うものです。
当時は休憩中にたばこを吸いながら、プロジェクトメンバーからよく文句や愚痴を言われたものです。
たいていは、「現場は忙しいのにコンサルが来ていろいろやらされている」、とか、「こんなのやっても無駄だよ」、とか、後ろ向きの発言が多かったです。
時は流れて、自分が主任となり、また、独立して自分自身が経営者になる中で、昔さんざん聞いた「現場の文句」をほとんど聞かなくなっておりました。
そもそも、そのことについてあまり深く考えたことはありませんでしたが、あえて考えてみると、「自分のコンサルとしての実力が上がったので、文句を言われなくなった」、くらいに思っていたかもしれません。
ところが、先日、久しぶりに田舎に帰省した際に、「そうではなかった」とあらためて気づかされました。
田舎に帰って、久しぶりにいとこに再会しました。
彼は地元の中堅企業の営業マンとして頑張っているのですが、その会社にはタナベ経営のコンサルタントが経営指導で入っているとのこと。
彼いわく、「タナベのコンサルは本当に迷惑だ。この忙しいときに来て、3年後がどうだのとか、目標だのなんだのという書類を出させたりとか、とにかく仕事のジャマだ。」云々。
まさに、タナベのコンサルがやっていることは、私が顧問先でやっていることです。
彼の話を聞きながら、思わずカチンときて、「そんな考え方だからダメなんだ!!・・・」と、ちょっとした口論になってしまいました。
あとで冷静になってみると、駆け出しコンサルの頃たくさん聞いていた現場の意見というのは、そもそも変わっていないと思います。
私自身がその声を聞かなくなったのは、私の実力が上がったわけではなく、その会社の社長のより近くにいるようになったので、社長にチクられるのが怖くて不用意な発言はできなくなっただけだと思いました。
虎の威を借る狐です。
もし、いとこのように利害がなければ、私がやっていることに対しても、現場から文句がいくらでも出てくるのではないかと。タナベのコンサルの文句を言っているように、私も外では文句を言われているのだろうと、あらためて反省をしました。
一方で、社長がどんなに会社を良くしようと思っていたとしても、現場への要求は、それをやらされる従業員から見ると面倒くさいことでしかないのだと。
そして、その現場の考え方をいかに変えていけるかが、勝ち組企業と負け組企業の差になるのではないかと、思いました。