経営者向けコラム

立場が人を作る

先日、ある会社で一泊二日の研修を実施しました。
今回の研修対象者は、等級・給料は高いが、役職にはついておらず、仕事は現場レベルという大企業特有のポジションの方たちです。

内容としては、実際に部下を持っているわけではないですが、いざ部下を持つ立場になったときを想定して「管理職とは」をキーワードにして、様々なテーマで話し合うものでした。

年齢はある程度いっていますが、ずっと現場のプレイヤーとしてやってきた人たちです。
本人の努力もありますが、中には社内の様々な力学で役職につけていない方もいらっしゃいます。
いづれにしても、これまでリーダーとして部下を率いて成果を出すという経験を積めていませんでした。

研修では上司としてどう考えるか、どう動くかということをリアルにディスカッションしていくような形で進めていきました。
実際に参加メンバーの議論を聴いていると、最初は現場目線、人任せ目線、会社批判、上司批判など、長いサラリーマン生活の負の側面が出ていました。

しかし、いろいろなテーマで2日間意見交換しているうちに、だんだんと変化してきました。
最後は私の目から見ても、実はこの人たちは本当に管理職なのではないか、もしかしたら、「できる上司」なのでなないか、と錯覚するほどの素晴らしい意見、発言が出ておりました。
明日会社に戻ったときに、この発言を本当に実践していけるかどうかは本人次第だと思います。
しかし、少なくとも研修の中では彼らは立派な管理職になっていました。
もしかしたら、現在管理職になっている人よりも、この人たちの中にうまくやっていける人がいるかもしれません。

みなさまの会社でも、今一度社員全員を見渡してみてください。

かつて大きなミスをした、まだ若い、性格に問題がある、なんとなく気に入らない、普段発言が少ない、などの先入観・レッテルで昇進を見送っている人がいませんか?
そんな人も、実は役職につけてみると力を発揮するかもしれません。

逆に、どんなに年をとっても、役職者としての経験を積まない限りはいつまでたっても一般社員の発想でしかものを考えないものだと、あらためて考えました。