経営者向けコラム

経営は常に二律背反

10月4日付の日経新聞に、小売り大手とネット通販との販売競争の記事が載っていました。

ヤマダ電機がアマゾンの販売価格に対応した店頭値下げを始めたとのこと。
他店より高い場合は値引きしますという作戦がついにネット通販まで対象になってきたということです。

ちなみに、ネット通販の小売り全体の売上比率は2.8%ですが、家電では7.5%まできているそうです(2011年データ)。
ランチェスター戦略の市場シェア目標値では6.8%を超えるとライバルに存在を意識されると言われています。
まさに、この数字通りの脅威をヤマダ電機も感じたのでしょうか。

しかし、強力な店舗網と販売員を持つ小売り最大手がネットと価格で勝負をしても勝ち目はないことはわかっています。
事実、同じ記事の中に、価格競争でネットを抑えつつ、一方で自社のネット事業を収益源として育てていきたいとも記載されていました。
大手小売りの経営者なら、これが大いに矛盾した戦略であることは誰でもわかると思います。

しかし、何もせずにすごしていたらいずれは大きな流れに飲み込まれてしまうでしょう。

経営というのは、相矛盾する二律背反の連続で、その中で1ミリでも有利になりそうなことを選択しながら進めていくものです。
どっちかわからないから両方やるというのはけして良いことではありませんが、どっちが良いということが確実にわかるものでもないのも経営です。

常に二律背反の選択肢の中でベストと思えることを決断するしかないのではないでしょうか。