先日、中小企業家同友会の主催で、テンポスバスターズの森下社長の講演会に参加しました。
                  その中で、ひとつドキッとしたお話がありました。
                  
                  森下社長いわく、
                  ビジネスはゲームであり、誰が一番うまくやるかの競争だ。
                  「一生懸命やりました」「努力しました」は通用しない。
                  
                  どんなに頑張ったとしても、ライバルに負けてしまえばそれまで。
                  それが市場競争である。
                  仕事も同じ。
                  
                  当社(テンポスバスターズ)の仕事は、廃業して使わなくなった厨房機器、食器などを買い取って、それを再生してリサイクルするという、世の中にとってとても価値のある仕事である。
                  引き上げてきた食器を洗っているだけの従業員にも、私たちがどれだけ社会貢献をしているかということを説き続けている。
                  
                  それに対して、ある従業員が「そんなに価値があるのなら、もっと金をくれ」と言ったとのこと。
                  それに対して、森下社長は、仕事はどんなに価値があっても、皿を洗う仕事は誰でもできる。
                  「この仕事を○○円でやる人を募集します」、といって人がたくさん集まってきたら、その金額が市場価値だ。
                  あなたがこの金額でやらないのであれば、他の人に変わってもらうだけだ。
                  残念だがそれが市場競争の結果だ。
                  
                  一方で、私のところにM&Aの案件をもってきて、○億円の10%の手数料をくれという連中がいる。
                  こんなのまったく価値のない仕事だと思う。
                  しかし、払いたくないと思えば、「じゃあ、他社にもっていきます」「ああ、ちょっと待って・・・払います」と。
                  納得いかないけど、これが市場価値だ・・・と、森下社長はおっしゃっていました。
                  
                  世の中にはすごく価値のある仕事、社会に貢献している仕事をやっているのに、給料の安い仕事というのがたくさんあります。
                  
                  そんなのを聞くと、もっとお金を払ってあげればいいのに、などと考えるのが人情です。
                  私もそう思います。
                  
                  しかし、ビジネスの世界では、「仕事の価値」と「市場価値」は違うのです。
                  そこを混同してしまってはいけないのです。
                  冷たいようですが、ビジネスの世界というのはあらためてそういうものだと認識しました。
                  一方で、ちょっとうら悲しい気持ちにもなりました。










