先日、ある一部上場企業の若手社員を対象に、「考える」ことをテーマにした研修を実施しました。
                  
                  様々な考える切り口を検討した後で、最後に本日のまとめとして、あるワークショップを実施しました。
                  「以下の2つのグラフを見て、思ったことを5分間で自由にプレゼンテーションしてください」というものです。
                  
                  1950年と2020年(予測)の日本の人口を示した2枚のグラフを配布しました。
                  テーマ設定も全く自由です。
                  このグラフから何を発想しても良いです。
                  7人の受講者からどんな切り口のテーマが出てくるのか楽しみにしていました。
                  
                  ちなみに、みなさんだったらどんなテーマ設定をしますか? 
                  
                  この日は見事に全員が「少子高齢化による労働人口の減少、それにともなう社会保障の問題」などの論点でプレゼンをしました。
                  社内でもエース級の優秀な人たちなので、みなプレゼンは見事なもので、政治家の演説を聞いているようでした。
                  
                  しかし、一方でがっかりもしました。
                  このグラフを見たときに、真っ先にいわゆる社会問題として論じられているようなテーマが出てくることは予想できました。
                  日本の人口構造の変化による様々なリスクは周知のとおりです。
                  
                  ただ、今日は自由に何を考えても良いわけです。
                  しかも、今日は一日ずっと「様々な方向から考える」ということをテーマにしていたにも関わらず、誰ひとりとして別の切り口(例えば、シニアマーケットの拡大、一人の子供にかけるお金が増える、国内市場縮小で海外市場開拓が今後のキーになるなど)でのテーマ設定をした人はいませんでした。
                  
                  そこで私自身あらためて思ったのは、私たちは自由にものを考えているつもりでも、実は新聞やテレビなどで知識としてインプットされていることを思い出しているにすぎないのだということでした。
                  
                  もし私自身が受講生として参加し、全く同じ命題を与えられたとしたら、間違いなく今日の受講者と同じテーマ設定をしていただろうな、とも思いました。










