支援先企業の1つで、2013年3月期決算が出ました。
5年前くらいに初めてご訪問したときが売上50億ほどでしたが、順調に業績を伸ばして、今年80億に達しました。
特殊素材を含む原材料商社で、顧客は大手製造業が中心です。
ご存知のようにメーカーの海外移転が日常茶飯の中で、この会社は親会社との関係上、国内のみでの販売しかできない制約があります。
お客様がどんどん海外に出て行ってしまい、普通なら、言い訳できる環境がゴマンと準備されているようなものです。
しかし、この会社は言い訳をしません。
残った既存のお客様に対して、新たな用途提案、別の素材への代替提案、お客様との共同での開発、別部門の紹介依頼など、顧客を徹底的に深耕することで年10%成長をずっと維持しています。
お客様の声を聞き、当たり前のことを当たり前にやり続けているということです。
また、人も順調に増やしています。
新卒、中途、管理職とまんべんなく数人ずつ採用しています。
組織の成長に合わせて、必要な人材を必要に応じて入れています。
もちろん、足りない人材を外から取るだけでなく、社内の人材育成にも力を入れており、順調に幹部クラスが育っています。
これも、外部登用、社内育成とどちらかにこだわるのではなく、どちらもしっかり力を入れている結果であり、当たり前のことを当たり前にやっているだけです。
最後にもう一つ。
積極的な人事異動です。
(社員の側から見ると頻繁な‘転勤’です)
たとえば東北の社員が地元に家を新築した直後に、平気で関西に異動の辞令を出します。
ただ、社員もそんなものだと受け入れています(まるで銀行のようですね)。
この効果はいろいろあります。
ある営業所で人間関係の不平不満が出てくる頃には、所長か自分のどちらかが別の場所に行ってしまいます。
引き継ぎを前提にしているので、仕事が人に付かず、商談履歴なども含めて客観的になります。
営業所間のバラツキや意思疎通ができないということが少なくなります。
結果的にこの会社が成長している一つの要因になっています。
業績向上に秘策はない。
あらためて感じました。