経営者向けコラム

十顔十色

考え・好み・性質などが人によってそれぞれに異なることを「十人十色」と言いますが、経営者はさらに社員の顔を見て「十顔十色」を読み取ることが大事です。

私の顧問先企業での事例です。
重要なポジションに抜擢した2人の人物がいます。
今までと異なる仕事の負荷により、2人とも周囲の人が心配するくらい、とてもしんどそうな顔をしています。
他の社員から聞く情報も、「あの2人はたいへんそう…」という話ばかりです。
客観的に2人の顔だけ見ると、同じように苦しそうな表情をしています。

ここで経営者が、
「ちょっとあいつらに負荷をかけすぎたかな。
少し仕事の内容を見直さないといけないな…。」と思ってはいけません。

実際、この2人について私が見ているところは、
一人は自分の現在の能力を超えるチャレンジの過程で奮闘している最中で、苦しいからこそ成長している、まさに自分の殻を破る生みの苦しみの「非常にいい顔」です。
一方で、
もう一人はもがいてはいるが自分のやり方を変えることができず、与えられたプレッシャーに押しつぶされて、心身ともに疲れ果てている「非常に悪い顔」です。

同じ「しんどそうな顔」をしていますが、中身が全然違います。

前者には今後もっともっと高い要求をすることでさらに成長するでしょう。
しかし、後者はただちにフォローしてあげないとこのままつぶれてしまいます。

同じ表情をしていても、実はそれぞれ違う。
当たり前ですが「十顔十色」なのです。