経営者向けコラム

人を見分けることは、限りある身の人間に与えられた力ではない

ドラッカーの名言を紹介します。

「人事は、究極にして、おそらくは唯一の管理手段である。
組織の成果を左右するのは人である。
組織は自らの人材を超えて仕事をすることはできない。
人的資源から引き出せるものによって、組織の成果が決定する。
それは、誰を採用し、誰を解雇し、誰を異動させ、誰を昇進させるかという人事によって決まる。
(中略)人を見分ける力に自信のある人ほど間違った人事を行なう。
人を見分けるなどは、限りある身の人間に与えられた力ではない。
(ドラッカー 『非営利組織の経営』)

「組織は人なり」と言いますが、その人がどれだけの能力を持っているのかは、仕事をやらせる、任せる、信頼する、結果を冷静に検証する、という一連のプロセスによってしかわかりません。
ドラッカーも前述の文章の後に、人を見分けるなんてそもそも無理なんだから、とりあえず決めた手続きを粛々と踏んでいくしかない、というようなことを言っています。

経営者としては、採用がうまくいかない、せっかく採用したのにすぐやめてしまう、いいと思って雇った人がなかなか成果を上げてくれない、役職に付けたのに全然思った通りにやってくれない…など、採用・人事については悩みが尽きません。
人の問題、とくに退職者が出たときなどはもっとも経営者の心が痛むときです。

しかし、この悩みに対する究極の回答は、ドラッカーが言うように、
「そもそも、そんなもんですよ」
ということです。


これからも淡々と粛々と、「仕事をやらせる、任せる、信頼する、結果を検証する」を続けていくしかないのでしょう。