仕事柄、いろいろな会社の中期経営計画作成のお手伝いをしています。
                  
                  会社をさらなる成長軌道に乗せるためには、社長自身の成功体験の自己否定と社員の意識改革が不可欠です。
                  
                  当然ながら、改革には相当な痛みがともないます。
                  これまでもっとも会社に貢献した社員がもっとも変化に対応できない人になってしまう姿を見るのはとても悲しいことです。
                  
                  そんなとき、私は「ゆっくり、急ぐ」という言葉をかけています。
                  
                  これは、私がコンサルティング会社勤務時代に部下に良く言っていた言葉です。
                  もともとは、私自身が駆け出しの頃、上司から言われた言葉でした。
                  
                  「ゆっくり、急ぐ」
                  
                  「ゆっくり」と「急ぐ」なんて矛盾したことを言うな!と思われるでしょうが、これは、以下のような意味で使っています。
                  
                  仕事をする上で、今日できなかったことが明日急にできるようにはならない。
                  とくにコンサルティング会社では、上昇志向のある若手であればあるほど、まだまだ経験・知識・技術も含めて、力が足りずにお客様の悩み解決のお手伝いをすることができない自分の無力さを知り、焦る、不安になる、他人と比較してしまう、気持ちばかりあせってしまう人が多いです。
                  
                  しかし、人間は弱いもので、焦ればあせるほど、やるべきことは手に付かず、日々の雑務に追われて漫然と一日を過ごしてしまう。
                  結果的にのんびりと一日が終わっている。
                  
                  人間は思ったほど成長しません。
                  3年経てば自然と3年分成長するというのは錯覚です。
                  実際には何も変わらずただ3歳年をとっただけのことが多いです。
                  貴社の社員はいかがですか?
                  
                  こうして、多くのサラリーマンが「ゆっくり、急ぐ」とは正反対の「あせる、でも、のんびり」になっているのです。
                  
                  あせらず、周囲に惑わされず、自分の将来をしっかり見据えながら、長期的な視点でものを考える。
                  つまり、「ゆっくり」とした気持ちを持つこと。
                  一方で、やるべきことを後回しにせず、今日やることは今日やる、つまりやるべきことは淡々と「急いで」やる。
                  「ゆっくり、急ぐ」とはそういうことです。
                  
                  本題に戻りますと、企業の改革を進めていく上でも同じことが言えるのではないでしょうか。
                  社長が陣頭指揮をとっていると、社員の改革意識の低さ、現状維持の根強さなどにもどかしい思いがすることでしょう。
                  しかし、改革も「ゆっくり、急ぐ」です。
                  社長自身がそう思うと同時に、社員にも、この言葉をかけてあげてください。










