ある工場を視察していて気づいたことです。
                  
                  その工場はパート社員中心に運営されております。
                  みなさん働き者でキビキビと動き、士気も高く、とても気持ちの良い工場です。
                  しかし、全員が勤勉に動き回っているが故に見えてこないものがあります。
                  ムダや非効率などを動き・スピードでカバーしているのです。
                  一度立ち止まって頭を使って考えてみればもっと楽にできることがたくさんありました。
                  
                  日本人の労働観は、「体を動かす事」にあると思います。
                  止まっていることは悪であり、動いていることに労働の充実感を感じる人のほうが多いでしょう。
                  
                  一方で、悪い言い方をすれば、「なにも考えずに動いているほうが楽」ということもあります。
                  体を動かすのは確かにしんどいですが、頭を使うのはそれ以上にしんどいのではないでしょうか?
                  
                  こう言ってしまうと、頭を使う仕事のほうが価値あるように聞こえるかもしれませんが、私はそうは思いません。
                  仕事の価値は「成果」で決まると思っています。
                  そして、成果は「頭を使う」ことと、「体を動かす」ことの両方から成り立っています。
                  私なりの言葉にすると、以下の方程式になります。
                  
                  「成果 = 知恵×行動」
                  
                  「知恵」は、「頭を使うこと」、つまり知識、経験、学習、ノウハウ、マニュアル、思考、戦略、戦術、等が含まれます。
                  これは、組織で共有することができます。
                  役割分担も可能です。
                  
                  一方で、「行動」は「体を動かすこと」です。
                  本人の気持ち、気力、体力、モチベーション、疲労等が関係します。
                  これは本人以外に役割分担ができません。
                  
                  成果を最大化させるためには、この2つの要素の掛け算です。
                  足し算ではありません。
                  なので、どんなに知恵があっても、行動しなかったら成果は0です。
                  (知恵100×行動0 = 0)
                  一方で、どんなに一所懸命行動をしても、知恵が0なら、成果は0です。
                  (知恵0×行動100 = 0)
                  知恵も行動も最大になることが理想です。
                  (知恵100×行動100 = 10000)
                  
                  組織における上司の仕事は、「全員の知恵の共有」と「個人の行動の最大化」です。
                  そして、行動は本人しかコントロールできないことなので、上司にできることは少なくともモチベーションを下げるような言動をしないようにすることくらいでしょうか。










